建築家が考えるプロダクトとは?空間と同じように日用品をデザインする


建築家が、ボールペンをつくる。

メガネを掛けるための道具を考える。

小さなテーブルをデザインする。

少し不思議に感じるかもしれません。

建築家の仕事といえば、家やビル、美術館などの建物を設計すること。

日用品とは、ずいぶん大きさが違います。

でも、考えてみると共通するところがあります。

人がどう使うのか。

どこに置かれるのか。

どのように動くのか。

使っていないときには、どう見えるのか。

建築も日用品も、人とモノとの関係を考えて形にする仕事です。

今回は、建築家がプロダクトをデザインすることの面白さについて考えてみます。

建築家は、建物の「形」だけを考えているわけではない

建築というと、外観を思い浮かべる人が多いかもしれません。

特徴的な屋根。

大きな窓。

美しい外観。

でも建築を設計するときには、見た目だけを考えているわけではありません。

人はどこから入るのか。

どこを歩くのか。

どこに座るのか。

光はどこから入るのか。

風はどう抜けるのか。

家具はどこに置かれるのか。

そして、その建物が何年も使われたときにどうなるのか。

つまり建築家は、

「人がそこでどう過ごすのか」から空間を考えます。

この考え方は、日用品のデザインにもよく似ています。

日用品も「使われる小さな空間」

例えばボールペン。

普通なら、

書きやすいか。

インクはどうか。

握りやすいか。

と考えます。

でも、もう少し視野を広げると、

どこに置かれるのか。

どう持ち歩くのか。

手帳と一緒に持ったときはどうなるのか。

使っていない時間はどうなるのか。

という問題もあります。

テーブルなら、

何を置くのか。

誰が使うのか。

どこへ動かすのか。

使わないときはどうするのか。

一つひとつの道具にも、建築と同じように人との関係があります。

まず「何のためにあるのか」を考える

プロダクトをデザインするとき、形から考え始める方法もあります。

格好いい形。

珍しい形。

目を引く色。

もちろん、それもデザインです。

でも建築的な考え方では、その前に、

「これは何のためにあるのか」

を考えます。

誰が使うのか。

どんな場所で使うのか。

どんな不便があるのか。

なぜ今の形になっているのか。

そこを一度分解して考えてみる。

すると、今まで当たり前だと思っていた形が、必ずしも唯一の答えではないことがあります。

ボールペンは、本当に丸くなければならないのか

ボールペンの多くは丸い軸をしています。

握りやすく、文字を書くには合理的な形です。

でも、

「手帳と一緒に持ち歩く」

という条件を加えたらどうでしょう。

一般的な丸軸のボールペンには、その直径分の厚みがあります。

手帳に挟む。

ノートと一緒に携帯する。

書類と一緒に持つ。

そんな使い方をすると、わずかな厚みが気になることがあります。

だったら、もっと薄くできないだろうか。

MARIO DEL MAREの22penには、そんな発想があります。

一般的な丸軸の形をそのまま小さくするのではなく、薄い形にする。

そして、薄型でありながら2色のボールペンとして使えるようにする。

「ボールペンとはこういうもの」から始めるのではなく、使われる状況から形を考え直す。

これは建築の設計にも通じる考え方です。

メモ帳には、本当に専用の紙が必要なのか

メモ帳には紙があります。

当たり前です。

使い切れば、新しいメモ帳や専用のリフィルを買います。

でも身の回りを見れば、A4用紙があります。

会社にもある。

自宅にもある。

プリンターにも入っています。

ならば、

その紙をメモとして使えばいいのではないか。

問題になるのは、紙そのものではなく持ち歩き方です。

A4 Memo Walletは、専用の紙をつくるのではなく、身近にあるA4用紙をどう携帯するかというところから考えています。

新しいものを足す前に、すでにあるものの使い方を見直す。

これも設計の一つです。

メガネは「掛ける」と「しまう」の二択なのか

メガネやサングラスにも、当たり前があります。

使うときは掛ける。

使わないときはケースにしまう。

でも実際の生活には、その間があります。

店に入ったので、サングラスを10分だけ外す。

メニューを読み終わったので、老眼鏡を外す。

そして、またすぐ使う。

この数分のために、毎回ケースへ収納する必要があるのだろうか。

そこで、

「使う」と「しまう」の間に、一時的な居場所をつくる

という考え方が生まれます。

ZERO HOLSTERも、こうした小さな違和感から考えられたプロダクトです。

テーブルは、場所を決めて置くものなのか

家具にも、当たり前があります。

ダイニングテーブルはダイニング。

サイドテーブルはソファの横。

屋外家具は庭。

でも、暮らしはもう少し自由です。

今日は窓際でコーヒーを飲みたい。

天気がいいから庭へ出たい。

夕方はテラスで過ごしたい。

ならば、人が家具の場所に合わせるのではなく、

家具の方が人についてくればいい。

コンパクトで、動かせる。

必要な場所へ持っていける。

AMERIGOやISEOにも、場所を固定しすぎずに使うという考え方があります。

建築とプロダクトに共通する「動線」

建築では「動線」という言葉があります。

人が建物の中をどう動くのか。

玄関から入る。

靴を脱ぐ。

廊下を歩く。

リビングへ行く。

キッチンへ行く。

こうした動きを考えて空間を設計します。

実は、小さな道具にも動線があります。

ペンを取り出す。

書く。

戻す。

メガネを外す。

掛けておく。

また使う。

テーブルを運ぶ。

置く。

使う。

片付ける。

一つひとつは小さな動作です。

でも毎日繰り返すなら、その数秒の使いにくさが積み重なります。

人の動きを観察して、その動作を少し自然にする。

プロダクトデザインにも、建築と似たところがあります。

「使っていない時間」まで考える

建築は、人がいるときだけ存在するわけではありません。

夜。

留守の時間。

季節の変化。

長い年月。

そのすべてを含めて建物です。

道具も同じです。

ペンは、書いていない時間の方が長い。

メガネは、外している時間がある。

小さなテーブルにも、使っていない時間があります。

だからMARIO DEL MAREでは、

使っている瞬間だけではなく、使っていないときにどう存在するか

もプロダクトを考える一つの要素になります。

機能と美しさを分けすぎない

機能的なもの。

美しいもの。

この二つは別のものとして語られることがあります。

でも、本当にそうでしょうか。

必要だから、この厚さになった。

動かすために、この構造になった。

素材の特性から、この曲線になった。

理由を突き詰めた結果として生まれた形が、美しく見えることがあります。

装飾を加えて美しくするのではなく、

構造そのものを整えていく。

これは建築にもプロダクトにも共通する考え方です。

大きさが変わっても、設計することは変わらない

建物とボールペンでは、大きさがまったく違います。

でも、

人を見る。

場所を見る。

使い方を見る。

不便を見つける。

必要な機能を整理する。

素材を選ぶ。

構造を考える。

そして形にする。

という過程には共通点があります。

数十メートルの建物でも、手のひらに収まる道具でも、

人が使うものを考えるという意味では、同じ「設計」なのかもしれません。

MARIO DEL MAREのプロダクト

MARIO DEL MAREには、筆記具から家具まで、さまざまなプロダクトがあります。

一見すると、まったく違うものをつくっているように見えるかもしれません。

でも、「同じ種類の商品を増やす」ことを目的にしているわけではありません。

日常の中で、

「これは本当に、この形でいいのだろうか」

と思うこと。

そこから考え始めます。

ボールペン。

メモ。

メガネ。

テーブル。

対象が変われば、答えも変わります。

だから出来上がるものも違います。

それでも、その根底には、

人が使うところから考える。

という共通した考え方があります。

日用品を、小さな建築のように考える

良い建築は、外から眺めるためだけにあるものではありません。

その中で人が過ごします。

触れる。

歩く。

座る。

時間を重ねる。

日用品も同じです。

眺めるだけではなく、毎日触れるもの。

使って、置いて、また使うもの。

だからこそ、

見た目だけでもない。

機能だけでもない。

人との関係まで含めてデザインする。

建築家が日用品を考える面白さは、そんなところにあるのではないでしょうか。

空間から、手のひらの道具まで

建築も家具も、小さな日用品も、大きさは違います。

でも、人が使うものには必ず理由があります。

なぜ、この形なのか。

なぜ、この素材なのか。

なぜ、こう動くのか。

MARIO DEL MAREでは、そんな問いからプロダクトを考えています。

便利だから買う。

それだけではなく、

「なぜ、こうなっているのだろう」

と少し眺めたくなる。

そんな道具との出会いも、日々の暮らしを面白くしてくれると思います。

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